共和病院では21世紀を迎えるのを機に、治療環境を整え快適な療養生活を送って頂くために、新病棟(C館)を新築しA館、B館についてもアットホームな暖かい雰囲気に改修いたしました。共和会の理念のもと、基本方針に従って、患者様、ご家族とのパートナーシップを大切に個人情報保護に留意し、多職種によるチーム医療を行います。さらに多くの患者様が地域や家庭に戻り、生き生きとした生活ができるよう支援をいたします。

「入院医療中心から,地域生活中心へ」

平成16年9月に厚生労働省は今後10年の精神保健医療福祉の基本的考え方を「精神保健医療福祉の改革ビジョン」として提示しました。その基本方針としては「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的な方策を推し進めるために、国民意識の変革 〜精神疾患は生活習慣病と同じく、誰もがかかりうる病気である事を90%以上の国民が認知する為の啓発をおこなう〜 と、しており国民が精神疾患を正しく理解し行動できるよう、また自分自身の問題として考える人の増加を促すとしています。  さらに精神医療体系の再編を考え、精神医療の現状の分析と精神病床の機能分化、地域医療体制の整備、入院形態ごとの適切な処遇の確保などを盛り込んでいます。また、かねてから72,000床の病床削減の受け皿として地域生活支援体系の再編も考え、地域生活支援体制の現状を分析し、市町村を中心とした計画なサービス提供体制の整備や、ライフステージに応じた支援体系を作ることなど、これによればかなり綿密な計画を策定し、精神に障害のある人々の地域生活支援を様々な面から強化しようとするものです。  これらの施策の中で民間病院は、どう有るべきなのか考えるとき、共和病院としては急性期治療病棟、老人性認知症疾患治療病棟のさらなる充実と長期入院を含む精神科療養病棟の機能見直し。そして社会復帰病棟からの退院促進を考え、長期入院している方達の分析、家族状況などの調査を進めます。  また,平成17年4月からは新たに精神科訪問看護部門を設置し、入院中から退院に向けての準備に関わりながら退院後の地域生活を支援して行く予定です。  平成17年10月には「あしび(福祉ホームB)」を開所しますが、入所予定の方達が心理社会プログラムや作業療法などを通して地域生活の準備を始めています。  いずれにしろ心を病んだ多くの人たちが、可能な限り入院という不自然な生活ではなく地域で自立して生活できるように、私たち病院のスタッフはより良い医療を提供し地域関係機関の協力と地域住民の方達の理解を得るよう、努力していこうと考えています。 広報誌「WA!」2005年新春号より

「共和病院のめざす精神科医療の方向性について」

21世紀の精神医療は1,消費者中心の医療体制、2,医療情報の開示、3,利用者が医療機関を選択するなど掲げられており病院は利用者の満足を得るための良質な医療を提供しなければならないという方向性が示されています。昭和63年に精神保健福祉法の改正がおこなわれて以来、平成5年からこの10年間に3回もの法改正がおこなわれました。この改正のたびに心を病み入院している方達の人権の擁護,処遇は著しい改善をみました。  各精神科病院は入院期間を短くすることを目指していますが、一方では長期に入院している方が停滞し、かつ高齢化もしています。厚生労働省は精神病床入院患者、約33万人の内7万人の人を退院させるという方向性を打ち立て、平成11年の医療法改正ではとりあえず精神病床の機能分化を求めています。  基本的な方針としての手厚い医療をおこなう病床(急性期・重症・薬物・身体合併症)、リハビリテーションを含めた医療をおこなう病床、さらに長期入院の方の処遇を考え、療養型病床を社会復帰施設に転換する方策も考えられているようです。このような日本における精神医療の現状を踏まえ、共和病院はどのような方向性を持つのかについてお話してみたいと思います。  平成15年8月頃には現在建築中の新病棟が竣工します。その後、数ヶ月かけてA館・B館を改築します。改築が完了した時点で病棟機能は、急性期治療病棟・老人性認知症治療病棟・精神科療養病棟(長期入院を含む)・社会復帰病棟・ストレスケア病棟(個室特別病棟を含む)となり精神科病床は251床、介護保険適用療養病棟が52床から80床となり、一人あたりの病床面積が6.4・以上と、かなりゆとりのある落ち着いた治療環境を提供することが出来ます。  当院の特徴として、外来通院者数が多く都市型病院の様相を呈しており、外来に受診される方は狭義の精神疾患のみではなく、まさに心の時代を反映するような鬱病や悩み事相談などメンタル・ヘルスの領域に拡がっています。社会復帰に関する取り組みとしては、すでにあるデイ・デイナイトケアの充実を図り、15年 1月より50人から70人規模へと拡大いたします。これに加え二つのグループホームを備えていますが、さらに社会的入院の方のために、2年後には「福祉ホーム」を開設したいと考えています。共和会関連施設としては訪問看護ステーション“ソレイユ”、居宅介護支援事業所“菜の花”、福祉用具貸与事業所“なでしこ”なども少しずつ充実し、利用者の方の地域自立生活のお手伝いができるようになりました。精神障害の方に対しては、大府市の協力のもとに開設された “憩の郷”の精神障害者通所授産施設(ワーキングスペースおおぶ)、精神障害者地域生活支援センター(キャンバス)などとの連携を取り、当院からも沢山の方が利用しています。  すでに述べましたように厚生労働省は7万人の人々を社会復帰させる方針のもとに、平成14年度から各市町村において居宅生活支援事業が開始されています。例えば住居の確保について、グループホームだけではなく公的住宅や民間賃貸住宅に円滑に入れるような仕組みを作ることや、訪問看護の普及、地域生活をしている方達の病状悪化の対応について精神科救急医療の充実などに力を注いでいるようです。いずれにしても障害者の方達が安心して生活するためには、居場所はもちろんのこと、マンパワーを必要とします。しかし医療経済から見て、とても満足できる数だけの援助者を配置することはできません。したがって今後も引き続き、地域の関係機関、ボランティアグループとの連携をはかりながら地域ぐるみで心の病を持つ方達の治療、及び生活支援をおこなっていきたいと考えています。
広報誌「WA!」2003年新春号より

特定医療法人共和会 共和病院 名誉院長 榎本 和