コウノ博士の認知症大講議!

第21週

パーキンソン症候群への処方〜医者の悩み〜

ワシは医学雑誌が自宅に届くと、最初に座談会を読むんじゃ。学者というのは総説とか原著となるときれいごとを書かなくてはならんと思ってしまうものじゃが、座談会となるとそうはならない。

出席者の全員が認知症のエキスパートじゃから、自分の自慢もしたいし苦労も披露したいものじゃ。そうすると出席者は、本音を言ってしまうのじゃな。それが同じ職場の人間から読むととてもリアルでおもしろくて、診療の参考になる。

今回紹介するのは、2004年の日本老年精神医学雑誌に掲載された『老年精神医学への多面的アプローチ』と題する座談会じゃ。多面的というのは、いろいろな科目の医師が統一されていない手法でばらばらに認知症患者を診療しているという、どちらかというと問題提起としての意味合いじゃのう。

診断基準の統一について話されたあと、治療ガイドラインの話になった。神経内科治療ガイドラインが2003年に作られたが、認知症患者は精神科にもかかるので、両科統一のガイドラインがほしいということじゃ。そこで新井平伊先生がパーキンソン病患者のへの処方の難しさを切り出された。

笠原洋勇先生は、疾患云々の前に老人への処方について注意が必要であることを指摘された。宇高不可思先生は、ガイドラインには微妙な用量設定のコツなどは書かれていないと指摘。アセチルコリンとドパミンの不均衡についても本音を言われておる。

最後には、精神科も神経内科も外来が満杯状態だから、患者さん1人を1人の医師が診られたらいいのに、という現実の話になったのじゃな。ワシは名古屋大学老年科の出身じゃから、老年科医がもっとも薬の副作用を出さない医者だと思っておる。笠原先生が指摘したことは実にうなずけることでのう、ワシも患者さんに初めて処方した次の外来では、『大丈夫じゃったか?薬の害はなかったか?』と聞く。『よくなったか?』なんて聞かないぞ。それが大事じゃ。

そこで、スライド21bをご覧あれ。レビー小体型認知症の薬は介護者が加減しなければ、なかなか安全にはいかん。レビーは記憶もよくしたい、歩行もよくしたい、ということでアリセプトとパーキンソン病治療薬を併用するのじゃが、記憶と歩行の両方を完璧に改善させたいと思ってはいかんのじゃ。

記憶も歩行も70%ずつよくなれば、そこで我慢じゃ!じゃからアリセプトは、治療開始のころは1.67~2.5mgのものじゃ。  ペルマックスは50μgと250μgの二種類があるのじゃが、当然弱いほうの錠剤を1日2錠(朝、夕)くらいから始めるのじゃな。6錠まで増やしても歩行が改善しなかったらそれ以上はペルマックスを増やさずに、他のパーキンソン病治療薬を併用するか、筋力増強を狙ってサアミオンはどうじゃろう。

ペルマックスに反応しない場合は、ひょっとするとレビーではなくてアルツハイマー型認知症とパーキンソン病の合併かもしれん。幻視がない患者さんならなおさらじゃ。

 

コウノ博士がレビー小体型認知症について講演をおこないます。希望する団体はメールをお送りください。土曜なら全国OKです。平日夜や日祝日なら東は浜松市、北は岐阜市、西は神戸市までとさせていただきます。講演のために休診するということは行っていませんのでご了解ください。 kyowakono@yahoo.co.jp

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