
継承とアップデート
共和病院 リカバリー支援部 次長 朝倉 起己
ギリシャ神話に「テセウスの船」というエピソードがあります。英雄テセウスの帰還を記念して保存された船の部品が、朽ちるたびに新しいものへと交換され、最終的にすべての部品が入れ替わってしまったとき、それは果たして「元の船」と同じと言えるのか、という問いです。
私は、共和病院に勤務して今春で28年目を迎えます。入職当時の病院は思春期・青年期病棟が活気に溢れていました。私は作業療法士として、患者様と共にスポーツに汗を流し、自信を深め合うリハビリテーションに勤しんでまいりました。当時の病棟の窓から見えた創立記念のイチョウの樹や、患者様たちが「上高地」「軽井沢」と呼んで親しまれた憩いの場も、今では新病棟の建築や建て替えに伴い、その姿を消しています。
28年前から残っている建物は一つもなく、物質的な観点に立てば、今の病院は「当時の共和病院」ではないのかもしれません。職員の顔ぶれも入れ替わり、働き方改革の影響も相まって、病院の雰囲気も変化しました。しかし、長年勤め続けている私の実感として、共和病院は変わらずそこに存在しています。ここで重要なのは、何をもって「同じ(同一性)」と見なすかという哲学的な議論です。
共和病院の存在の本質は、建物という形にあるのではありません。患者様に寄り添う姿勢、真心を込める気持ち、そして安心と希望を叶える「優しい医療・楽しい職場」という理念にこそあると考えています。この精神が職員の心に根付いている限り、たとえ物質的な姿が変わろうとも、共和病院は一貫して在り続けられるのだと言えるでしょう。
社会や時代の変化に柔軟に対応し、地域から選ばれる病院であり続けるためには、変化を恐れず常にアップデートしていく姿勢が不可欠です。姿かたちは変わっても、受け継ぐべき「優しい医療・楽しい職場」の姿勢と気持ちを胸に、大切な想いと志を未来へとつなぎ、実現していく決意を新たにしています。この共和病院というテセウスの船に乗って。
『 優しい医療・楽しい職場 』
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