病院広報誌 WA! 第85号 2021.01.19 | 広報誌WA!

雲外蒼天

特定医療法人共和会 理事長 共和病院 院長 山本直彦

今年はコロナ禍の収束が見えない中で、「明けましておめでとうございます」と心から言えないのは何とも寂しい限りですが、この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響はあまりに大きく、その事を触れずに新年の巻頭言を述べるのは、かえって不自然な感じすら致します。

一昨年の12月に中国で発生したCOVID-19は世界のあらゆる分野に大きな影響と変革、差別や偏見、分断をもたらしています。私ごとではありますが、20年近く大学でウイルス学の研究に携わってきた関係で、学生達に様々な感染症によるパンデミックの講義をしてきました。しかし、どこか他人事のように話をしていましたが、「2020年」を過ごした私たちはまさにCOVID-19感染症というパンデミックの歴史の大きな渦中にあり、今後、何かと語り継がれることでしょう。

これまでの世界のパンデミックがそうであったように、その後は社会、経済や文化などから人の価値観に至るまで、ありとあらゆる分野で大きな変革をもたらしていきます。そして、この渦中で新たに見えてきたものもあれば、失ったものも多くあります。

例えば、テレワーク、リモート会議等のソーシャル・ディスタンスや「新しい生活様式」が推奨される一方で、仏教には「面授」や「聞法」という言葉があり、人間と人間とがお互いに息遣いの聞こえる距離で向き合って聞き、語り合う事の重要性を説いており、リモートワークにおける限界の声もよく聞きます。また、なかでもコロナに感染して亡くなられた方に対して家族ですら対面する事が叶わず、「さよならの言えない別れ」の状況に居たたまれない気持ちになりました。これまでの歴史を築き上げてきた亡き人への「死者への畏敬の念」の欠如に憂い、死というものに向き合う事が、如何に自らが生きる上でも大切なものであるのか、あらためて思い知らされました。

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